オープンイノベーションのウソ?


こうした流れに西野氏は異を唱えます。これまで技術開発を軸に据えた企業の中でオープン・イノベーションの成功例はないし,今後も難しいのではないかとみます。P&G社の例に対しては「日用品レベルの開発の話で,既存の技術と技術の組み合わせで済む場合ならあり得る」と評価しますが,同じ考えが「先端技術を軸にする企業には通用しない」(西野氏)と指摘します。

オープンイノベーションは、日用品レベルなら成り立つが、先端技術では通用しないと主張されているようです。
しかし、チェスブロウさんの本に書いてあることは逆のように思われます。


“オープンイノベーション"では、このモデルを支持する証拠として掲げたものは、ほとんどすべてコンピュータ、IT、医薬品などのいわゆる“ハイテク"産業から得られた定性的な証拠だけだった(Chesbrough 2003a、2003b、2003c、2003d)。しかし、これらの業種は、先進工業経済のさまざまなセクターのなかのごく一部を代表するものでしかない。オープンイノベーションのコンセプトがローテク産業や素材産業にも当てはまるかどうかは、まだ答えられていない問題だ。

むしろ、オープンイノベーションの事例はこれまではハイテク企業に偏っており、ローテクや素材でも通用するかはまだ未知数、と書かれています。


オープンイノベーションのコンセプトが過度に持ち上げられ過ぎているという懸念は私も持っていますが、ちょっとこの批判*1はずれているような気がしました。


*1:技術経営の常識とウソ」はまだ未読です。