本当にスマートフォン戦争の勝敗はついたのか?
スマートフォン戦争の勝敗はついたのか - My Life After MIT Sloan
について。
まず、ここには Google の利益は載っていません。PC業界の利益を分析するのに、MS や Intel の利益を無視して、PC製品メーカーだけを分析するのは正しくないでしょう。その意味で、垂直統合戦略をとる Apple を過大評価している可能性があります。
ただ、仮に Google の利益を考慮したとしても、やはり Apple の利益のほうが Google の利益よりも大きいです。また、Android がそのままでは使い物にならない品質であるとか、Android 陣営は利益率を犠牲にして、市場シェアを取っているというのも概ね正しいと思います。
しかしながら、それでも Android は急速にシェアを伸ばしています。
Google は制限なく Android OS を公開し、端末メーカーに完全競争に近いレッドオーシャンでの競争をさせるのが戦略であると考えられます*1。Android 陣営の利益の総額が少なくなるのは、Google の狙い通りで戦略が上手くいっている証拠であるとも言えます。
では、Google はなぜ無料で Android OS を公開するのか? 欲しいのは、Android のインストールドベースでしょう。Google Play Store*2 での収益や、他サービスとの相乗効果(範囲の経済)はインストールドベースからもたらされます。端末メーカーは基本的には端末販売時にだけ利益を計上できますが、インストールドベースはその積み重ね(積分値)です。
Google が Apple を(利益で)逆転できるかどうかは、Google が獲得しつつある巨大なインストールドベース*3を今後いかに活用できるか? にかかっていると思われます。まだ勝負はこれからで、これからが面白いところではないでしょうか?