本当にスマートフォン戦争の勝敗はついたのか?

スマートフォン戦争の勝敗はついたのか - My Life After MIT Sloan

について。
まず、ここには Google の利益は載っていません。PC業界の利益を分析するのに、MS や Intel の利益を無視して、PC製品メーカーだけを分析するのは正しくないでしょう。その意味で、垂直統合戦略をとる Apple を過大評価している可能性があります。

ただ、仮に Google の利益を考慮したとしても、やはり Apple の利益のほうが Google の利益よりも大きいです。また、Android がそのままでは使い物にならない品質であるとか、Android 陣営は利益率を犠牲にして、市場シェアを取っているというのも概ね正しいと思います。

しかしながら、それでも Android は急速にシェアを伸ばしています。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ae/World-Wide-Smartphone-Market-Share.png

Google は制限なく Android OS を公開し、端末メーカーに完全競争に近いレッドオーシャンでの競争をさせるのが戦略であると考えられます*1Android 陣営の利益の総額が少なくなるのは、Google の狙い通りで戦略が上手くいっている証拠であるとも言えます。

では、Google はなぜ無料で Android OS を公開するのか? 欲しいのは、Androidインストールドベースでしょう。Google Play Store*2 での収益や、他サービスとの相乗効果(範囲の経済)はインストールドベースからもたらされます。端末メーカーは基本的には端末販売時にだけ利益を計上できますが、インストールドベースはその積み重ね(積分値)です。

GoogleApple を(利益で)逆転できるかどうかは、Google が獲得しつつある巨大なインストールドベース*3を今後いかに活用できるか? にかかっていると思われます。まだ勝負はこれからで、これからが面白いところではないでしょうか?


*1:MS や Intel の戦略と類似していると思います。

*2:Android Market

*3:ただし、先進国では相対的に iPhone が強く、途上国では相対的に Android が強い(一例)ので、インストールドベースの数では Google だが、質では Apple が勝る、という見方もあると思います。もしくは、Android はローエンド破壊型イノベーションの条件を満たしている、という見方もできると思います。