「密造酒をつくる」こと
するとまず、厨房でバイトの女の子が激しく叱られているのが聞こえてきた。
さらに、突然店長というどう考えても年下の若者が出てきて、私たちに説教しはじめた。こういうことをしてもらったら困る、ここはお店である、などなど。
私たちはいちおう事情を言った。この人は、こういうわけでもう日本にいなくなるのです。その本人がおみやげとして海外から持ってきた特別なお酒なんです。どうしてもだめでしょうか? いくらかお金もお支払いしますから……。
店長には言わなかったが、もっと書くと実はそのワインはその子の亡くなったご主人の散骨旅行のおみやげでもあった。人にはいろいろな事情があるものだ。
しかし、店長は言った。ばかみたいにまじめな顔でだ。
「こういうことを一度許してしまいますと、きりがなくなるのです」
「バイトの女の子」さんの機転を利かせた行為を、ルールを盾に店長がつぶしてしまいました。
居酒屋に限らず、よくあることだと思います。私はSEなのでそれを例に取ると、PMの判断でプロジェクトにアジャイル的手法を取り入れたところ、レビューで「ISO9001に反している」「開発標準に反している」などとしてそのボトムアップの工夫を潰してしまうことはよくありがちだと思います。
一般的に、社歴が長い会社、規模の大きい会社では、ルールが幅をきかせている、いわゆる「官僚的」で「風通しの悪い」組織になりがちです。長い時間の中で培われたルールはそれなりに妥当性もあるものだし、また規模の大きい会社では例外を認め出すときりがないという事情もわかります。全てのケースを網羅したルールなんか作れるわけもありません。
とはいえ、歴史のある大手企業でも、「官僚的」で「風通しの悪い」組織でいいわけがありません。
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によると、上司に隠れて研究をしてよい「ブートレッギング(密造酒づくりの意)」、業務時間の15%を好きな研究に充ててよい「15%ルール*1」などのルールが公式なものとして存在し、ボトムアップの創意工夫を殺さない工夫が3M社にはあるとのことです。
ルールでかんじがらめにするのではなく、ボトムアップの自由な創意工夫を大事にすること、またそれを意識的に公式のルールや、成功ストーリーとして流布することが、「官僚的」で「風通しの悪い」組織になることを防ぐには重要と思います。
404 Blog Not Found:居酒屋は何を売っているのか
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