地震の発生確率について

竹中平蔵さんのtweetが大分叩かれているようです。
http://togetter.com/li/133823


この87%という確率はBPT分布に従って算出されています。*1

http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201105060460.html によると、直近の東海地震1854年安政東海地震で、さらに周期は100-150年と考えられているとのことです。
つまり、下記の図(正確ではありません。ラフなものです)の、 (青色部分の面積)÷((青色部分の面積)+(黄色部分の面積))が 0.87 であるということです。

このように、一様な分布ではないため、たとえば直近の1年間に東海地震が起きる確率は、(87% ÷ 30) よりも大きいものになります。
逆に、今から29年後から30年後までの1年間に東海地震が起きる確率は、(87% ÷ 30) よりも小さいものになります。
よって、竹中さんのtweetの計算方法は、リスクを過少に見積もっていると言えると思います。*2


こういう見方で論じている tweet はあまりないような気がしたので書いてみました。私も経済学研究科在学の大学院生なので数学や地震の専門家ではありません。ご批判・コメント等ありましたらお気軽に。


【追記】
id:fuka_fuka さんのブックマークコメントより


周期のピークを過ぎると「もう起こらないだろう」とみなされているとは知らなんだ。

それは少し違います。「条件付き確率」という考え方なのですが、「今から1年間地震が起こらなかった条件下で、今から1年後から2年後までの1年間に東海地震が起きる確率」>「直近の1年間に東海地震が起きる確率」> 「今から1年後から2年後までの1年間に東海地震が起きる確率」となるのです。
よって、上で紹介した朝日新聞の記事で、『地震調査委は04年、30年以内の発生確率を「84%」と公表。その後の時間経過から今年1月現在で「87%」と計算した。』と書かれているように、地震が起こらなかった条件下では、徐々に一定期間内の発生確率は上がっていくことになります。これは、直感的な感覚*3とも合致しているのではないかと思います。


*1:http://www.jishin.go.jp/main/chousa/10_yosokuchizu/k_keisan.pdf に、「海溝型地震の活動間隔はBPT 分布(Brownian Passage Time 分布)に従うと考えられている」とあり、東海地震は海溝型地震であるため。

*2:あと、そもそも0.2%でさえ決して小さい数値とは思えません。ほぼ3σに相当する値であり、製造業の品質管理などでは許容範囲を超えていると見なされることが多いかと思います。損害額の期待値についての評価はこちらも参考になります。

*3:徐々に危険が迫ってくるようなイメージ