オープンソースハードウェア(OSHW)定義草案バージョン 0.4 日本語訳

オープンソースハードウェア(OSHW)定義草案バージョン 0.4 を日本語訳してみました。(原文

Make: Japan Blog さんの、バージョン0.3日本語訳 をもとにして、差分を変更しました。

序文
オープンソースハードウェア(OSHW)とは、すべての人に製造、改造、配布、使用ができるように設計が一般に公開される形のある実体......機械や装置などの製造物......を示します。この定義は、オープンソースハードウェアのためのライセンスの開発および評価の指針となることを目的とします。
留意すべきは、実体のある物を作るうえで、かならず物理的な資源を取り込むという点において、ハードウェアはソフトウェアと異なるという点です。そのため、OSHWライセンスの下で物(製品)を作る人や企業は、その製品の製造、販売、保証、その他の許諾行為をオリジナルの開発者が行うかのように思わせる表示をしないという責任を負います。また、オリジナル開発者が所有するいかなる商標も、使わないように気をつけなければなりません。

オープンソースハードウェアの配布条件は、以下の基準に準拠しなければなりません。

1. 資料
ハードウェアを配布する際には、設計ファイルを含む資料を添付してください。また、この設計ファイルの改変と配布も自由に行える必要があります。製品に資料を添付できないときは、ごく一般的な方法により、相応な複製費用で、望ましくはインターネットから無料ダウンロードで、資料を入手できる態勢を整えておく必要があります。この資料には、ハードウェア開発者が設計を変更できるよう、例えばCADプログラムのネイティブファイルのような設計ファイルを含めてください。設計ファイルの内容を故意に分かりづらくすることは認められません。また、コンパイルされたコンピューターコードに類似する中間的形態......たとえば、CADプログラムの印刷用プリント基板パターンのファイルなど......を代用にすることも認められません。このライセンスは、設計ファイルが完全にドキュメント化されたオープンなフォーマットで提供されることを要求することもできます。

2.スコープ
ハードウェアに対する資料には、設計のどの部分(全て、ではない場合)がこのライセンスのもとにリリースされるのかを明白に特定する必要があります。例えば、製造者がプロプライエタリのICを組み込んだ基盤の設計をリリースする際、このライセンスで、部品表を一般的な、オープンソースの、またはその他の非プロプライエタリコンポーネントに制限することができます。

3. 必要なソフトウエア
このライセンスのもとでリリースされるハードウェアが、それを正しく操作するためや、その重要な機能を実現するために、組み込み、もしくは非組み込みのソフトウェアを必要とする場合、ライセンスは以下の一つの条件に合致するものを要求することができます。
a) 常識的に見て、装置を正しく操作するためや、その重要な機能を実現するためのオープンソースソフトウェアを書くことができるのに十分に、ごまかしがなく、インタフェースがドキュメント化されていること。
b) OSI承認オープンソースライセンスのもとに、必要なソフトウェアがリリースされていること。

3. 派生作品
このライセンスでは、改造および派生作品、さらに、オリジナルのハードウェアのライセンスと同一条件での配布を許可してください。またこのライセンスは、製品に添付された設計ファイル、またはその派生設計ファイルをもとに作られた製品の製造、販売、配布、使用を許可するものでなければなりません。

4. 再配布の自由
このライセンスは、出典の異なる複数の設計を含む集合的配布の構成要素としてのプロジェクト資料の販売および無料配布を、いかなる団体に対しても制限してはいけません。このライセンスでは、そうした販売にともなう著作権料、またはその他の料金を要求してはいけません。このライセンスでは、派生作品の販売に伴う著作権料、または、その他の料金を要求してはいけません。

5. 帰属
このライセンスでは、設計ファイル、製造製品、派生製品、あるいはこれらすべてを配布する際には、派生作品にオリジナル開発者が特定できるようにしてください。また、このライセンスでは、派生作品には、オリジナル設計とは異なる名称、バージョンナンバーを付けてください。

6. 人および団体を差別しない
このライセンスでは、いかなる人および団体をも差別してはいけません。

7. 分野および目的を差別しない
このライセンスでは、ハードウェアを使用する分野および目的によって使用者に制限を加えてはいけません。たとえば、商用利用を制限したり、核開発での利用を制限するといったことはできません。

8. ライセンスの配布
ハードウェアに付与された権利は、製品または資料を再配布された者にも与えられます。この際、受け手は新たにライセンスの取得手続きを行う必要はありません。

9. ライセンスは単独製品に特定的に与えてはならない
ハードウェアに付与された権利は、大規模な製品の一部品として組み込まれたときに変更されることがあってはいけません。もし、このハードウェアが製品から取り出され、ハードウェアのライセンスの条件下で使用または配布された場合も、このハードウェアを受け取ったすべての人に、オリジナルの製品とともに与えられている同じ権利が与えられます。

10. ライセンスは、他のハードウェアまたはソフトウェアによって制限されてはいけない
このライセンスでは、ライセンスされたハードウェアと共に配布または使用する他のハードウェアまたはソフトウェアに関して制限を加えるものではありません。たとえば、同時に販売された他のハードウェアをオープンソースであると主張することはできません。または、このハードウェアにはオープンソースソフトウェアしか使えないといった制限はできません。

11. ライセンスは技術的に中立であること
このライセンスのいかなる条項も、個別の技術またはインターフェイスの形式を前提としてはいけません。

あとがき
このオープンソースハードウェア定義に署名した人たちは、オープンソース運動が情報共有のためのひとつの手段にすぎないことを認識しています。私たちは、この定義に合う合わないを別として、あらゆる形のオープン化と共同製作を促進し、支援していきます。